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生き延びるための科学
2021.12.18
元村有希子 氏
毎日新聞論説委員
北九州市生まれ。1989年毎日新聞入社。西部本社報道部、福岡総局などを経て2001年、東京本社科学環境部。日本の科学技術と社会との関係をつづった連載『理系白書』により06年の第1回科学ジャーナリスト大賞を受賞。科学環境部長などを経て19年6月から論説委員。近著に『カガク力を強くする!』(岩波ジュニア新書)『科学のトリセツ』(毎日新聞出版)など。毎日新聞にコラム『水説』、サンデー毎日に『淑女の養生訓』を連載中。富山大、九州女子大、東北大客員教授。TBS『新情報7days ニュースキャスター』『サンデーモーニング』コメンテーター。(2023年4月現在)
『生き延びる』ためのサステナビリティ
生き延びるとは、英語ではsurvive(生き残る)という単語を当てることが多いですが、今回はサバイブもさることながら、サステナビリティ(持続可能性)、今の状態を将来まで持続することについて考えてみましょう。
国連が定めたSDGs(Sustainable Development Goals)のSustainableが、サステナビリティの語源ですが、レジ袋ではなくエコバッグを使用することもサステナブルな行動ですし、屋根に太陽電池パネルを乗せることもサステナブルなエネルギーを積極的に使用する行動です。あまり難しく考えなくても、サステナブルというのは私たちにとって居心地のいい状態として存在しています。
そのために私たちが少し我慢をするときもありますが、どのような行動をするとサステナブルになるのか、あるいは地球が生き延びられるのかということを、普段から考える癖をつけておくと、自分の行動が少し有意義に思えてくるでしょう。
2020年代のグローバルリスク
世界経済フォーラムが毎年1月に発表する地球規模のリスク予測では、2020年代は、新型コロナの影響が3年から5年続くこと、経済的な打撃が続くこと、そして国家間の関係がきしむ恐れがあることが予測されています。
具体的には、2020年代に発生する可能性が高い出来事として、異常気象や気候変動に伴うもの、感染症や生物多様性の損失といったことがあげられ、起きた場合の社会への影響が大きいものには、感染症、気候変動対策の失敗、大量破壊兵器、天然資源の危機、生活苦などがあげられています。これらはどこかで必ずつながり合っており、どちらかが原因、どちらかが結果になっている関係です。
地球温暖化による異常気象
地球温暖化研究のパイオニアである真鍋淑郎氏は、大気中に二酸化炭素が増えると温暖化が進むということを、実測ではなくコンピューターで予測し、その論文を1967年に書きました。半世紀以上も前のことですが、その当時から危機感を持ち、備えていれば、ここまで地球温暖化が進むことはなかったかもしれません。ですが科学というのは、1967年の論文が正しかったと実証されるまでに時間がかかります。
1850年からの地球の平均気温の変動をグラフにすると、多少のブレはありますが、トレンドとしては上昇しています。2012年の時点で、この150年間に0.85度上昇しましたが、最新のデータでは1.1度上昇しているとされています。中国、アメリカ、日本、インドなど大排出国が約束した目標は、1.5度に抑えるというもので、目標まであと0.4度です。たとえ2100年に自分が生きていないとしても、諦めてはいけません。皆さんの子孫が直面する世界のために、今行動しておくことがとても重要です。二酸化炭素排出削減といった行動を今起こしたとしても、海水温が下降するなど、気候に影響するのは、おそらく20年から30年後でしょう。そこを見るために、諦めずに行動することが重要です。
人間が変えた環境
人間が環境を大きく変えた痕跡が残る地層、そのような地質年代の名前を、人新世(じんしんせい)としようという議論が科学者の間で起きています。マイクロプラスチックが地層に残る、二酸化炭素の濃度が前の地質と比べて極めて高い、核実験で発生するプルトニウムが検出されるなど、人間が起こした環境破壊が地層に残るということです。2年後には、この議論にも結論が出ているかもしれません。
海岸に打ちあげられた漂流物の写真とともに掲載された記事は、地球上の自然由来のものよりも、地球上にある人工物のほうが重量で上回ったのではないかという研究成果を報じています。人間1人でできることは本当に小さいですが、人が変われば企業を変え、企業が変われば経済が変わり、経済が変われば社会が変わっていく、そういうきっかけがどこかにあるはずです。
科学技術が生み出すものと、生まれる格差
1986年にベック氏が提唱したリスク社会とは、豊かな生活を壊しかねない危険性と定義されています。5万年前、人間が人間らしく生きていたころは、水害が起きようと、火山が噴火しようと、リスクとはみなされませんでした。それは失う財産がそれほどないからです。文明が高度化し、インフラや建物、人命など、失って困るものが多くなるほどリスクは高まるという考え方で、これは人間がつくった文明と背中合わせにあるものと言えるでしょう。私たちは科学技術文明の産物に囲まれて生活していますが、それらが環境破壊を引き起こすことも、それらを利用できる人は豊かな生活を送り、利用できない人との格差が広がることもあります。
また、次々と新しいサービスや商品を用意し、購買意欲をかき立て、経済を回し、さらに豊かになっていくというモデルのなかでは、省資源ではなく資源を浪費することも多々あります。科学技術というのは、あまりにも進みすぎると、そこまで求めていないものまで提供され、さらには歓迎しないものまで提供されることもあります。ただ一方で、科学技術は人間の営みであり、どこかでやめることも、スピードを落とすこともできます。今までそのように考える人が少なかったため、大量生産・大量消費、温暖化、プラスチックごみ問題などが起きているのです。
新型コロナワクチンに関しても、日本では3回目接種が始まりましたが、1回も打てていない国の人はどうするのでしょうか。実際にオミクロン株が南アフリカで最初に見つかりましたが、南アフリカ国民の平均接種率は2割に届いていません。つまり、お金がなくてワクチンに到達できない国から変異株が生まれ、それが様々な国を経由して日本にやって来るという図式を考えると、日本の幸せだけを考えていると、それこそサステナブルな健康は保てないでしょう。科学技術や資本主義は、持つものと持たざるものの格差をどうしてもつくってしまいますが、そこをどう補えばいいのかということも課題です。
コロナの副次的な影響
人間は免疫を獲得すれば、次に曝露しても重症化しないことはワクチンで証明されています。日本でも、コロナのワクチンや飲み薬の使用開始の見込みがたつなど、戦うための武器は揃ってきましたが、コロナはそれだけでは安心できません。コロナの流行を背景に、11年ぶりに自殺者が増えました。コロナの罹患により自殺しているのではなく、コロナ禍の行動制限で仕事の減少や失職、殺伐とした社会の中で心を病んでいく人たちが一定数いることが原因と考えられています。自殺者数は常に男性のほうが多いのですが、今回心配なのは女性の増え方が激しいことです。こうしたことを考えると、コロナとは単なるウイルスではなく、人の心を変える、あるいは社会を揺るがす、そういう副次的な影響が大きいと思います。このような状況は、もはや科学というより、他の専門家の人たちに力を発揮してもらわないとならないでしょう。
政治と科学
今年(2021年)の夏に東京オリンピックがありました。コロナワクチンで抗体を作るには2回の接種が必要であり、さらに2回目の接種から2週間後に効果が出ると言われていますが、五輪担当大臣の丸川氏は、1回目の接種でまず一時的な免疫を付けてもらうと発言しました。オリンピック会場で働くボランティアの方への2回目のワクチン接種が間に合わないのではないか、という質問に対する返答でしたが、これは科学的に間違っているのです。このようなボランティアの方の命を危険にさらす発言を、なぜ不用意に口にするのかというと、やはり専門家と政治家が連携をしていないからでしょう。
コロナに限らず、何か科学的な知識が必要な政策決定の場には、必ず専門家が呼び出されます。専門家は、科学的に最大限正しいと思う意見を言いますが、政治家にとって都合の悪い内容だった場合、無視されることも、排除されることもありました。このようなことを続けていると、やはり政策は徐々に歪んできます。そして、つけを被るのは受益者であり主権者である国民なのです。
政治と科学の関係が好ましくないのは日本だけではありません。スノー氏が1959年に『Two cultures(2つの文化)』というタイトルで講演をしています。このTwo culturesの1つは科学者で、もう1つは文学的知識人を示し、『文学的知識人を一方の極として、他方には科学者、しかもその代表的な人物として物理学者がいる。そしてこの二つの間をお互いの無理解、ときには敵意と嫌悪の溝が隔てている。だが、最も大きいことは、お互いに理解しようとしないことだ。この分離は社会的に大きな損失になる。』と語っています。これは放置してはいけないことで、政治家が科学的センスを少し身に付けてくれれば歩み寄れるのではないかと、私はわずかな希望を持っています。
諸外国のコロナ対策
台湾のIT担当責任者であるオードリー・タン氏は、どこの薬局に行けば何枚のマスクが購入できるかを調べられるアプリを作りました。ないと思うと奪い合い、密になることで感染が広がるという心理を見抜き、自分はコロナウイルスを殺すことはできないけれど、国民を安心させることはできるという思いで、自分のできる行動を起こしたのです。
物理学者でもあるドイツのメルケル首相は、専門家の意見をじっくり聞き、自分が納得した上で政策に生かすことができた数少ないリーダーの1人です。ドイツで感染爆発したときの演説では、収まるまでは行動を制限すること、不用意に何度も行く買い物は誰かを不幸せにすることだと話し、店主や売り子に感謝の言葉を述べました。その上で、いつまで続くかは分からないけれど、永遠には続かないというメッセージを送ったのです。このような、専門家の意見を尊重しながら、自分なりのメッセージを自分の言葉で発せられる、政治家として当たり前であってほしい能力ですが、メルケル氏はそれに秀でていた方でした。
対照的なのはトランプ氏でしょう。トランプ氏はコロナをただの風邪だと思い続けてらしたので、コロナ対策もほぼ必要なかったようです。その後、科学重視のバイデン氏に交代し、大統領直轄アドバイザーの科学顧問というポストが新しく創られ、コロナに限らず、様々な科学的問題についてアドバイスを得るという仕組みができました。
リスクのコントロールと落とし穴
リスクはハザード×曝露量で計算されます。ハザードとは、何か事象が起きたときの危険度のことで、たとえば富士山の噴火では、どのような破壊力を持つかがハザードです。富士山の近くに住んでいれば曝露は大きく、遠く離れた沖縄に住んでいれば曝露は減るのでリスクは小さくなります。重要なのは、事象そのものの危なさを正しく見積ることと、曝露する可能性を自分でコントロールすることです。それにより、リスクを増やしたり減らしたりできるのです。
ですが、リスクには落とし穴もあります。その1つがリスクの受け止め方の個人差です。タバコががんを引き起こすハザードであることは、おおよそ実証されており、曝露量をゼロにすれば、タバコが原因でがんに罹り死ぬリスクはゼロにできます。しかし、周囲がそれをリスクだと感じていても、本人がそう感じるとは限りません。喫煙者に、リスクが高いからやめて欲しいと伝えても、自分にとってはタバコで死ぬリスクより、我慢してうつ病になって死ぬリスクのほうが高いと言われると、何も言えないでしょう。つまり、リスクの受け止め方は各々で異なり、自分が納得できないと曝露量を減らすことにつながりにくいのです。
2つ目は、リスクの大きさは相対的であるということです。2020年ごろは温暖化のニュースが、5年前や10年前は大震災のリスクや原発のリスクが強く意識されたのですが、現在はコロナが一番のリスクと受け止められています。つまり、リスクがいくつかあるときは、人は一番気になるものを最も大きく捉え、他のリスクを忘れがちになります。
そしてもう1つ、リスクは時間差に弱いことがあげられます。温暖化で地球環境が壊れると分かっているにもかかわらず、その日が来るのが80年後と言われると、明日、明後日の生活のほうが重要になってしまいます。いつか来ると分かっていても、明日のように受け止められないのが人間の弱いところです。
地球物理学者である寺田寅彦氏は、随筆に『モノを怖がらなさ過ぎたり、怖がり過ぎたりするのはやさしいが、正当に怖がることはなかなか難しい』と残しています。知識や判断力を身に付けることにより、正しく怖がることが必要です。
コロナの与えた影響と復元力
中国の市場で肺炎がはやっていると聞いたときには、日本にウイルスが入り、ここまでの状態になるとは思っていませんでした。このウイルスは巧妙で狡猾(こうかつ)だと思った時期もありましたが、飛行機が世界中を飛んでいる以上、どこかで起きた感染症は日本にもやってくると思っていたほうがいいでしょう。
感染症は、古くて新しい病気と言われており、ポリオやマラリアの薬ができた1970年代ごろには、少なくとも先進国では感染症は克服された病気だとみなされていました。それが、こうしたかたちで人間を脅かす時代になってきたということに、おそらく最も驚いているのは感染症の専門医や町医者だと思います。感染症には、抗生物質かウイルス薬を出せばよかったものが、今回、それでは対処できなかったからです。
ただ一方で、ここまで立ち止まることができたということは、何か新しいことが生まれてもおかしくないと思います。たとえばモンベルは、行動制限で遊びに行く人が減り、アウトドア衣料が売れなくなりましたが、その生産ラインで防護服を作り、医療機関に提供しました。その後、3密ではないキャンプがはやりだし、再び業績が上がっています。他にも、コロナ禍での避難所では3密が起きてしまうため、段ボールベッドを製作している中小企業の社長は、床に寝るのではなく、ベッドの導入を提言しました。
働き方改革も進んでいます。小室淑恵氏は、自宅でできる作業を持ち帰れるようにする、タイムカードを使い勤務改良をすることを提言してきた方ですが、コロナでリモートワークが推進され、自分らしく働ける仕事にチェンジし始める人が多くなると、自分の会社をいい会社にするにはどうしたらよいかと考え始めた中小企業から、多くの講演依頼が来ているようです。これはいい傾向で、最大の成果は、霞ヶ関の男性役人に育児休業取得が義務付けられたことだと思います。
コロナ禍で、人間が普通に幸せに生きるとはどういうことかと、誰しも1回は立ち止まって考えたのではないでしょうか。私の実家は北九州ですが、コロナ禍では飛行機に乗るのもはばかられ、会えないことがこんなにつらいものなのだと分かりました。ですが、母はスマートフォンを購入し、テレビ電話の技術を身に付けました。つまり、少しの困難は誰かの行動を変えるのです。行動を変えることが、また新しい幸せや発見につながる、あるいは新しい関係を結ぶきっかけになります。
会場に足を運んでくださる方も、オンラインで参加されている方もいらっしゃいますが、オンラインということは、世界中から参加することもできるわけです。江﨑販売店の方は世界中からゲストを招くこともできるのです。来年(2022年)の毎日新聞150周年イベントで、ブラジルの環境大臣と議論を交わすことも、以前はおいでいただくのが本当に大変でしたが、パソコン環境があれば現地とライブでお話しできます。これはコロナで得た、得がたい財産の1つかもしれません。
ここまでの半分以上が科学技術以外の話でしたが、科学だけでは世の中の複雑な仕組みは解決しません。科学の知識は重要ですが、それをどう賢く使うかで変わるのです。
これからの社会のあり方
AIがますます普及してきていますが、2、3年前には、人工知能の普及で仕事がなくなるという予測もありました。これもコロナの話題で隠れていますが、実は重要な問題で、人工知能が普及すれば失業する人が何十万人と出るでしょう。人工知能が必要であるとするならば、着地点はどこにあるのでしょうか。これは科学ではなく政治や社会のお仕事です。ゲノム編集など生命操作技術も出てきていますが、人間は何か今までと全く異なる生命のあり方を手に入れるかもしれません。
また放射性廃棄物、核のごみ問題、これらも科学の副産物です。10万年もの間保管する場所を、日本で見つけられるのでしょうか。北海道に、保管場所として手を挙げている村がありますが、もともと核のごみを出したのは、主に大都市の人たちの電気を作るためです。そう考えたとき、人ごとだと片付けてはいけないでしょうし、科学だけではもはや解決は不可能です。
現在、地球人口は、100年間で約3倍に増えています。100年前は30億人ほどだった人口が、現在は約80億人です。その人数が、この狭い地球に張り付いて、1日3度ご飯を食べると、水はどう分け合うのか、などと考えるだけで気が遠くなります。地球環境を守りながら人々が末永く生きていくために、つまり人類が繁栄するということを前提に置くならば、できる限り賢く地球の資源を使い回さないといけないですし、それがサステナビリティなのです。
これまでの社会は少し横に置き、これからの社会をどうしていきたいかということから考えたほうがいいのではないかと思うようになりました。大きいのはいいことかもしれませんが、小さいほうがいいこともあるはずです。2、3年前に北海道で起きた停電も、小さい発電所を各地域に造っていれば、ブラックアウトは起きにくかったでしょう。大は小を兼ねるという時代は、少し無理があったのではないでしょうか。
同様に、誰か1人だけ、1企業だけが得をするのではなく、共有財産をどのように使うかという考え方、所有するのではなく分かち合うことが、これから重要になります。たとえば、車を持たずカーシェアを利用する、メルカリなどのリユースを利用するなどです。右肩上がりの成長は気持ちのいいものではありますが、現在の私たちは成長していない時代に生きています。それは、成長をどこまで追い掛けるかということを、もう1度私たちに突き付けているのではないでしょうか。
今、自覚するべきこと
元ウルグアイ大統領のホセ・ムヒカ氏は、質素な家に住み、給料の9割を貧困者の家を建てるために寄付していました。彼は、与えられた範囲で生きる、足るを知るという考えを持ち、地球サミットでの演説では、『貧乏な人とは、少ししか物を持っていない人ではなく、無限の欲があり、いくらあっても満足しない人のことだ』と語っています。次々に消費し、欲望をあおり、消費を喚起させていくことが今までの成長モデルとするならば、それは貧しさを再生産するだけであるということです。
さらに重要なのは、1つの分野だけで解決しないことは他分野の人と協力をすることです。同じゴールに向かい、同じ方向を向き、何ができるかを考えていくというライフスタイルです。リスクはゼロにはできませんが、上手に手なずけて、そして上手にサバイブする、つまりサステナブルに生きていくというのがとても重要です。そのときに科学の知識やノウハウを使い、現状を正しく認識し、それが間違っていれば見直すのです。そして何よりも、人間には知恵があるけれど限界があるのだという、謙虚な考え方を忘れないことが大切です。
他者のことを思いやる、未来を予測できる、そして未来のために理性を使い我慢できる、この3つは人間の人間たるゆえんです。この3つを大切に、行動に移していきたいものです。
質疑応答
女性A 「オミクロン株が出てきましたが、北京オリンピック後に影響があるか心配です。どのようにお考えでしょうか。」
元村氏 「北京オリンピックは、海外からのお客様は入れずに開催するようですね。中国政府は、ウイルスを持ち込ませないということを、とても気にしているようです。北京オリンピックに出場した選手が自国に持ち帰るリスクより、自国から中国に持ち込むというリスクがあると思います。ですが、その影響が日本に及ぶかどうかは想像がつきません。むしろ、北京オリンピック開幕前に日本に第6波が来て、そのウイルスはオミクロン株がメインになるのではないかと思います。そうなると、また感染者の爆発的増加が起き得るので、政府には、きっかけを捉え、行動制限や対策を打ってもらいたいと思っています。」
男性A 「先日、北極圏で38度という初めて人類が経験する高い気温が出ました。それにより北極や南極の氷床が溶け、全世界的な干ばつや豪雨、先日のアメリカの突風のような、様々なことが今後起こる可能性があると思います。それを科学で防ぐ方法や、人類がどこまでそれらのことに対応できるのかということを、科学的視点でお聞かせください。」
元村氏 「今起きつつあることを科学で止めるということはできないと思いますが、1つの知恵として適応という考え方があります。温暖化の被害をゼロにはできないため、人間が行動を工夫することで人的被害を下げるという考え方です。たとえば、水面上昇により沈んでしまうツバルでは、オーストラリアへの移住が始まっています。また気温上昇により育ちにくい農作物は、農家の方が作物の切り替えを行っています。ミカン栽培をキウイ栽培に切り替えるなどです。また新潟県では、温暖化に耐えられる品種のお米を作っています。今できることは、このような適応ぐらいではないでしょうか。もう1つは、排出をなるべく抑え、今行っていることをきちんと守ることです。ですが、一定程度の被害や、難民が出てくるということは、避けられない状態だと思います。」
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開催スケジュール SCHEDULE
2024年12月21日 開催
崖っぷちのSDGsを救えるか~若者たちの挑戦に学ぶ~
- 日時
- 2024年12月21日[開始時刻]15:00[開始時刻]14:30
- 会場
- 毎日江﨑ビル9F 江﨑ホール
- WEB配信
- WEB配信あり
2024年カリキュラム CURRICULUM
タイトル 講師
01/13新春!日本の政治展望前田浩智 氏
02/24ロシアはどこへ行くのか大木俊治 氏
03/013月は休講となります。
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05/18日韓関係の改善は本物なのか澤田克己 氏
06/15宗教と政治を考える坂口裕彦 氏
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07/13揺れる価値観 パリ五輪を展望岩壁峻 氏
08/10民間人空襲被害者たちの戦後史栗原俊雄 氏
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この30年を振り返りながら澤圭一郎 氏
10/26毎年恒例!数独の世界
『数独国際大会の裏側』
『「数独の凡」脱出-続編』【数独協会】森西亨太 氏 / 後藤好文 氏
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12/21崖っぷちのSDGsを救えるか~若者たちの挑戦に学ぶ~永山悦子 氏